事業を行っていると、毎年 1 回その事業内容の結果を集計して、法人税や所得税を計算 し申告納付することになります。また、従業員に給料を支払っている場合には、その給料か ら源泉所得税を預かって、原則として毎月納付しなければなりません。
もし、これらの税額を少なく計算して正しく納付していない場合には、加算税や延滞税と いったペナルティーが課されることになります。これは、申告納税制度を維持するための一 種の行政制裁的なものです。
(1)過少申告加算税
最初に申告した税額が間違っていたことを、後日税務署に指摘されて修正申告書を提出 した場合に課されます。原則として追加税額の 10%ですが、その追加の税額が最初の税額 と 50 万円のいずれか多い金額を超えるときはその超える部分は 15%となります。
<例>
① 最初の税額 100 万円(本来の正しい税額 250 万円)
② 追加の税額 150 万円
③ ①>50 万円 ∴①(最初の税額である 100 万円)
②-①(最初の税額である 100 万円) =50 万円(その超える部分の金額)
④ 100 万円×10%+50 万円×15% =17.5 万円・・・過少申告加算税
(2)無申告加算税
期限までに申告をせず、後日税務署に指摘された場合に課されます。原則として納付すべき税額の15%ですが、その納付すべき税額が50万円を超えるときはその超える部分は20% となります。
(3)不納付加算税
給料等の支払いをしている源泉徴収義務者が、納付期限までに源泉所得税の納付をしなかったことを税務署に指摘された場合に、その源泉所得税の 10%が課されます。
(4)重加算税
仮装隠蔽があった場合、つまり税金をわざとごまかしたような場合には、過少申告加算税・不納付加算税に代えて 35%、無申告加算税に代えて 40%が課されます。
(5)延滞税
納付期限を過ぎてから納付する場合に、その過ぎた日数に応じて課される利息的なペナ ルティーです。現在は、特例基準割合(日銀が公表する金利をベースにした割合)を元に計 算され、納付期限から 2 ヶ月以内であれば低い率となっています。
<2021 年分>
納付期限から 2 ヶ月以内・・・年 2.5%
納付期限から 2 ヶ月超・・・・年 8.8%
なお、平成 28 年度税制改正により、上記(2)(4)で過去 5 年以内にも無申告加算税や重加算税が課されたことがある場合には、それぞれの割合に 10%が加算されることとなりました。つまり、より厳しいペナルティーとなります。
一方、間違いに気付いても税務署から連絡がある前に修正申告書を提出した場合には、上記(1)は課されません。また、申告納付が遅れていても税務署から連絡がある前に申告 納付した場合には、上記(2)(3)は 5%となります。
もし、間違いに気付いた場合などでも早めに自ら申告納付すれば、納付が遅れることで 延滞税は生じたとしても、加算税は軽減されます。よって、落ち着いて適切に対応しましょう。
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(この内容は、2021年7月時点の情報です)
執筆者のご紹介
税理士 豊見知雄(とよみ・ともお)
経営支援業務(いわゆるMAS業務)に力を入れております。中小企業の社長は日々の業務に追われ、しっかり“経営”に向き合う時間がなかなか取れないことも多々あります。そんな社長にいつも頼られる存在でありたいと思っております。
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