司法書士 上塩入徹 (かみしおいり法務事務所)
個人事業主の方が新規で法人を設立するときには、一般的に株式会社か合同会社を選択 されますが、最近では、公益性・非営利団体のようなイメージを持たせることを目的とし て、一般社団法人を設立される方も増えています。 これらの法人は、設立するにあたり発生する費用(登録免許税、定款認証手数料、定款 収入印紙)がそれぞれ異なり、費用で法人を選択される方もいます。 今回は、一般的な株式会社・合同会社に一般社団法人を加えた3法人を設立する場合に 発生する費用(登録免許税、定款認証手数料、定款収入印紙)を比較します。(株式会社・合同会社の資本金は500万円で比較します)
1.設立時に生じる費用
法人の設立時には、主に次のような費用が発生します。
(1)登録免許税・・・・・法務局への登記申請時にかかる税金
(2)定款認証手数料・・・定款を認証する際に公証人に支払う手数料
(3)定款収入印紙・・・・紙の定款に貼付しなければならない印紙
株式会社 | 合同会社 | 一般社団法人 | |
登録免許税 | 150,000 | 60,000 | 60,000 |
定款認証手数料 | 50,000 | 0 | 50,000 |
定款収入印紙 | 40,000 | 40,000 | 0 |
計 | 240,000 | 100,000 | 110,000 |
(単位:円)
(1)登録免許税
株式会社・合同会社ともに資本金の1000分の7を乗じた金額とされ、株式会社 は最低金額15万円、合同会社は6万円とされています。今回は資本金500万円の 法人を設立するケースで算定していますので、登録免許税はそれぞれ最低金額の15 万円、6万円となります。
(2)定款認証手数料
定款認証手数料とは、法人を設立する際に作成する一番最初の定款(原始定款と言 います)を、公証役場において認証してもらう手続で発生する手数料のことで、株式 会社と一般社団法人は認証後の定款がないと設立することができません。
令和4年1月1日から公証人手数料令第35条が改正され、株式会社は設立時の資 本金の額によって、
(イ)資本金100万円未満 3万円
(ロ)資本金100万円~300万円未満 4万円
(ハ)資本金300万円以上 5万円
と区分されるようになりました(今回は資本金500万円ですので、定款認証手数 料は5万円となります。)。
一般社団法人は従来どおり5万円かかり、合同会社はそもそも定款の認証自体が不 要ですので、定款認証手数料はかかりません。
(3)定款収入印紙
定款収入印紙は、最初に作成する原始定款の原本に貼付しなければならない収入印 紙代です。一般社団法人には貼付義務はありませんが、株式会社と合同会社は収入印 紙を貼付しなければいけません。ただし、定款を電子で作成し署名できる場合には、 収入印紙が不要となり、費用を抑えることができます。電子署名は今後活用の場が広 がることが予想されますので、法人設立を機に積極的に利用したいところです。
2.そのほか生じる費用
設立時に発生する主な費用は上で説明したとおりですが、そのほか定款謄本の交付手 数料、登記が完了した後の証明書発行手数料など諸経費が発生します。また、司法書士 に依頼する際は専門家報酬もかかります。
3.最後に
今回は設立時の費用面を比較しましたが、実際には設立後の定期的な登記、各法人特 有のメリットデメリット等、比較すべき点は多岐に渡ります。神戸商工会議所に所属す る士業有志で構成される団体「こうべ企業の窓口」であれば、各専門家への相談から全 てをワンストップサービスで提供することができます。 お困りのことがあれば、ぜひ「こうべ企業の窓口」にご相談ください。
執筆者のご紹介
司法書士 上塩入徹(かみしおいり・とおる)
日本一わかりやすい説明を心掛けます。難しい法律や手続きの話を、依頼者にもきちんと伝わるよう分かりやすい説明をしながら、一緒に問題を解決していきます。
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