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個人だけではありません! 企業でもできる「 ふるさと納税 」/税理士福岡裕次

税理士 福岡裕次 (税理士法人はやぶさ)

個人版ふるさと納税を活用している社長から、「会社もふるさと納税ができたらいいのに」との会話から、 調べた制度がこちらです。

企業型の場合、 返戻品はありませんが、最大で寄付額の9割相当の税額負担を軽減できる仕組みになっています。通常の寄附より格段に節税効果がある制度であるといえましょう。 企業の資金だけでなく、優秀な人材やノウハウを地方公共団体が地域社会を活性化させるために活用することを期待して設けられた制度で 、令和 2 年度に拡充・延長されています。

制度の説明

概要

  • 国が認定した地域再生計画に位置付けられる地方公共団体の地方創生プロジェクトに対して企業が寄附を行う場合 (以下「特定寄附」といいます。)、当該企業において通常の費用と同様の経費処理を認めるだけでなく、法人税等、法人住民税、法人事業税等からの税額控除を認めることとし 、最大で支出額の90%相当の税負担を軽減する制度です。
  • 企業からの寄附については、資金の提供だけでなく従業員等の人材の派遣による当該人件費相当も特定寄付の対象にできる場合があります。 寄附活用事業の企画・立案段階から、企業が自社の資金と人材提供 を通じ、 地方公共団体の当該事業に参画する事例も出てきています。

留意点

・寄附を受ける地方公共団体が、寄附企業に対する経済的な見返りを行うことは禁じられています。

たとえば、寄附企業に対して商品券等換金性の高い商品を提供 したり 、寄附により整備された施設を寄附企業に 専属的利用 させること は、経済的な見返りと考えられ てい ます。

 

・本社のある地方公共団体に対する寄附 については 、同制度の適用が受けられません。

神戸市に本社のあるA 社は、兵庫県や神戸市に対して当該寄附を行っても、企業版ふるさと納税の適用を受けることはできませんが、明石市に本社のある B 社 が 神戸市に当該寄付を行う場合は適用が可能です。個人版のふるさと納税と同じようなルール があります 。

 

・地域再生の趣旨から、 不交付団体 である 東京都 は対象外とされており 、その他三大都市圏 内で、その全域が地方拠点強化税制における地方活力向上地域以外にある 不交付団体 は対象外とされています。不交付団体とは、いわゆる税収が豊かな自治体 のことです。

 

・企業 一社当たり最低 10 万円から当該寄附は可能とされています。

詳細計算過程は省略しますが、おおよそ 課税所得(税金計算上の利益 )が 5 千万円の会社であれば 50 万円の寄附により、 実質的に 約9割(約45万円)の法人税等の納税額をセーブすることが可能となる見込みです。5 0 万円を超える場合は、税額控除額に制限がかかるため、寄附支出 に対する税額軽減の割合は徐々に減ることにご留意ください。

税金面以外のメリット

 

 

実際には、節税効果以外 のメリット も理解された上、控除限度額を超える寄附を行う企業様もいらっしゃいます 。総合的な判断で事業活用事業の選定と寄附額 を決めていただければと思います。

 

・ 人材活用 と人材交流

寄附を受け入れる地方公共団体が民間企業のアイデアやノウハウを 積極的に 活用することを期待して 寄附活用事業を設けるケースもあります。 貴社役職員の活躍の場としての活用が期待できます。 自治体職員の他、同事業 参画する他企業 ・ NP O の役職員との交流を通じて新たな視点やアイデアを自社に持ち帰るだけでなく、 参画メンバー間での 新たな事業提携への発展も期待されるところです。

 

・ 貴社のPR

寄附活用事業のプレス発表を通じて、地元マスコミにて貴 社 名や貴社 製品をPRする 機会にも繋がるのではないかと 思われます。 市役所等 と 一緒に 貴社 や社長も取材を受けるケースも多く、対外的な信用力向上 や社員の士気向上 も期待できるでしょう。

 

・ SDG s への貢献

寄附自体はSDGs17 項目の内、「 11 .住み続けられる まちづくりを」に結びつくのではないかと考えますが、 他の項目に重なる環 境保全につながる寄附活用事業も多くみられます。SDGs というと、なんだかとっつきにくい活動と映るかもしれませんが 、各自治体の募集する寄附活用事業への 参画を通じて 、負担感の少ないレベルから SDG s に 取り組むことも 可能とな るでしょう 。

 

【ご注意】

  • 本稿は、令和2年4月現在の租税特別措置法の法令、及び内閣府地方創生推進事務局「企業版ふるさと納税について」など関係省庁が管理するHPを基に作成しております。
  • 本稿の事案と類似する場合でも、適用が認められない場合がございます。事前に寄附先の地方公共団体との協議を頂き、顧問税理士にご相談の上、要件確認の他、申告書作成の依頼や申告書チェックを受けることをお勧め致します。 

執筆者のご紹介

税理士 福岡裕次(ふくおか・ゆうじ)

①会計・税務を中心に社長のビジネスの成功をアシストします。②弊社の主力業務連絡です!運営から事業承継までしっかりサポート致します。③合併や分割といった組織再編についても、ご相談ください。再編の前後で税金で頭を悩ませないよう、早め早めの相談が大切です。

  1. 決算・申告業務(個人・法人)
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  3. 組織再編税制(主に国内)

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