この10年ほどは、中小企業においてもM&Aが活発に行われるようになりましたので、経営者の皆様にとってもM&Aは身近なものになってきたと思います。23年ほどM&A仲介をしており、その間に100件ほど仲介しましたが、珍しい案件や不思議な案件も経験しましたので、一部をご紹介させていただきます。
○上場したばかりの買い手候補へ案件を提案に行ったら、受付の女性の名前が「買手さん」だった
○買い手の社員の中に売り手の会社名と同じ名前の人がいた
○大阪(売り手)と名古屋(買い手)の案件では、両社長が同じ名字だった(これは大きなメリットでした)
○売り手と買い手の初面談の時に売り手の本社ビルへ行ったら、その場所は買い手の社長が子供の頃に住んでいた場所だった
○大阪の広告代理店の案件では、売り手の社長が私の自宅の前のマンションに住んでいた
○私の地元の同級生の夫(売り手)は、譲渡後、譲渡代金の全額を詐欺に遭った
○20年間で1度だけ社員食堂を運営している会社を買いたいという相談がありましたが、その2日後に社員食堂の売り相談(これも20年間で1度)があった
○よくテレビCMに出ていた社長(買い手)に「テレビに出て有名になりすぎると社長が病気になったり亡くなったりすると、会社の価値が下がるので、テレビに出るのはほどほどにした方が良い」とアドバイスしたら、その直後から出なくなった
○私と同じ年齢ですが、10億円で会社を売却した社長は、漫画に出てくるようなイカツイ顔でしたが、子供が10人もいた
○今まで5社ほど買収(うち3社をお手伝い)して会社をどんどん大きくしている社長(前社長の娘婿)は、元寿司職人
○なかなか売るという決断ができなかった売り手社長が売却の決断をしたのは、亡くなる2週間前だった(病院までサインをもらいに行きました)
○業績が傾いてきて資金繰りが悪くなり倒産の危機にあった会社(酒の卸業)を3億円で買収して救ったのは、この会社の経理の平社員(40歳ぐらい)だった
これらはレアケースですが、小さな案件でもドラマがあります。
これ以外に大型海外案件(業種はゲームで買い手が中国)では、買収監査チーム(10人ほど)の責任者が、1週間ほど毎日、洋服と靴を変えて登場したのはビックリでした。
神戸では、6件ほど仲介しましたが、私が世話役をしているヨガの会に参加してくれている大学の先輩(以前、老人ホームを経営)の会社も仲介させていただきました。この先輩は、私のアドバイスを100%聞いてくれて過去最高に素直な素直な良い売り手でしたが、売却から7年経った今でもお付き合いが続いており、ありがたい限りです。
M&A案件に限らず、ユニークな案件もお気軽にこうべ企業の窓口へご相談ください。
執筆者ご紹介
公認会計士・税理士 小柴学司(こしば・がくじ)
M&A仲介を20年ほど専門にしており、仲介実績は100件ほどです。M&A用の企業評価は300件ほどの実績です。
1.M&A仲介
2.企業評価
3.買収監査
リオ税理士法人
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