· 

1月末期限の固定資産税の申告「固定資産税(償却資産)の対象となる資産を見直しましょう」/税理士河北啓二

固定資産税は、1 月 1 日現在の土地、家屋及び償却資産の所有者に対し市町村が課税する税金です。土地や家屋については登記をしていることから市町村も所有者や課税すべき金額等を把握できているのですが、償却資産については毎年 1 月末期限までに所有者が申告をする必要があります(一般的に償却資産税と呼ばれます)。

■対象となる資産

償却資産とは、土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産で、その減価償却費が所得の計算上、損金又は必要な経費に算入されるものをいいます。対象となる資産は各種製造設備等の機械及び装置やパソコン、看板、船など様々なものがあります。

例えば、賃貸している店舗の造作のように、家屋の所有者と異なる者が実施した内装工事はその者が償却資産として申告する必要があります。所有者が行った内装工事は家屋として課税されます。

■対象外の資産

減価償却を行う資産でも自動車のように別途課税されている資産は除きます。また、リース資産のうちリース期間終了後返却する必要があるもの(所有権移転外リース)はリース会社に資産の所有権があるのでリース会社に申告義務があります。そのため、使用者側には申告義務がありません。反対に、リース期間終了後に所有権が移転する資産は使用者側に償却資産の申告義務があるので注意が必要です。

ソフトウェアや特許権などの無形固定資産も申告の対象外です。 

■税額の算出方法

課税標準額(1,000 円未満切捨て)×税率(1.4%)=税額(100 円未満切捨て)

市町村ごと(神戸市のように政令指定都市であれば一つの区ごと)の 1 月 1 日現在における評価額の合計額が課税標準額となります。課税標準となるべき額が 150 万円未満の場合は課税されません。なお、150 万円未満であるか否かは区ごとに全資産の課税標準の合計額で判断します。

なお、学校法人の教育用の資産や社会福祉法人が所有する資産のように課税標準の特例の規定が適用される場合は、その資産の評価額に特例率を乗じて課税標準額を計算します。 

■評価額の算出方法

償却資産の評価は、資産の取得時期、取得価額及び耐用年数を基本にして行います。資産一品ごとに一定の算式をもとに計算を行い、評価額を求めます。なお、法人税申告や所得税申告の際の固定資産台帳の帳簿価額とは異なります。

■一括償却資産、少額減価償却資産との関係

取得価額が 10 万円未満のものについては消耗品等の科目で全額損金算入となります。

通常、10 万円を超える価額で取得したものについては固定資産として資産計上をする必要が出てきます。ただし、一括減価償却や少額減価償却というルールがあり、いずれを選択するかで償却資産税の申告が変わってきます。

①一括償却資産

・取得価額 10 万円以上 20 万円未満のものが対象

・使用を開始した年から 3 年間にわたって、法人税・所得税では取得価額の 3 分の 1ずつ償却できる

償却資産税の対象とならない

②少額減価償却資産

・取得価額 10 万円以上 30 万円未満のものが対象

・青色申告を行っている中小企業が適用可能

・1 事業年度の上限が 300 万円

・法人税・所得税では取得価額の全額を損金に算入できる

償却資産税の対象となる 

■まとめ

事業を行っておりひとつでも償却資産を所有している方は、申告が必要となります(課税標準の合計が 150 万円未満の方でも)。ここまで述べてきたように、償却資産の対象資産は幅広く、また、対象となるかならないかの判定に迷うような資産もあります。一括償却資産のような特別なルールを用いれば償却資産の対象から外れる場合もあります。1 月末の申告期限までに所有している資産と固定資産台帳が一致しているか、償却資産税の対象・対象外が適切であるかなど、ぜひ一度ご確認してみてください。

 

私も所属する神戸商工会議所所属の士業有志で立ち上げた「こうべ企業の窓口」では、そのほか様々な問題に複数士業が事業者の皆様をサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。

執筆者ご紹介

税理士 河北啓二

会計・税務はもちろん資金繰りや計画策定など経営全般についてサポートいたします。お客様との対話を重視しながらスピード感を持って取り組んでまいります。

 

税理士法人希水会 河北事務所

〒650-0027

神戸市中央区中町通2-2-18 愛幸ビル2F

TEL:078-958-6400

https://www.tkcnf.com/kawakitazeirisi/index


皆様へのお願い

このコラムをご覧になって、専門家にお電話いただく際には、「『My法務コラム』を見て電話した」とおっしゃっていただけると、スムーズです。

宜しくお願いいたします。