ドローンで出来る事


土地家屋調査士 梅田 啓人

(土地家屋調査士法人ウメソック)

 数年前から巷を賑わしているドローン。CMやバラエティー番組でも頻繁に使われたり、ニュースでも取り扱われるので、存在自体は殆どの方が知っているかと思います。ですが、実際それがどういうものであったり、企業とどういう風な関わりを持てるか、一部ではありますがお話ししたいと思います。

 

 先ず、ドローンというのは俗称であり、正しくは無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)と言います。測量と同様、そもそもは軍事目的に開発・発展したものです。余談ですが昔放映していたアメリカのテレビドラマ「24」ではよく和訳で「無人機」とセリフで出ておりましたが、小型で偵察を行ったり、アメリカからミサイルを誘導して敵対国を攻撃するといったものでした。その後に中国メーカーが参入し、ホビーから産業用まで拡張されていきました。

 

 業務として使用される目的としては、メジャーなものでいえば空撮です。対企業としては、ホームページのトップで社屋を掲載したり、建設業や不動産業は販売物件のチラシに使用されています。

 

 私、土地家屋調査士の関連業務としては、ドローンを使用した測量(以下「UAV測量」とします)といったものがあります。これは実は目新しいものではなく、写真測量の応用です。写真測量というのは本来飛行機を飛ばしてはるか上空から真下を連続撮影し、それを図化して図面(地図)を作成する測量です。例としては、都市計画図や山岳地図などがそれにあたり、古くは明治時代に米軍が作成したものもあります。UAV測量はそれをスケールダウンしたもので、地上約30mの高さから連続撮影します。ドローンはGPSで制御している事から平面だけではなく高さのデータもありますので、それをパソコンで解析し、3次元の図面データを作成が出来ます。飛行機との違いは、必要な範囲の詳細な写真測量を行うという事です。

 UAV測量の一番のメリットは工期の短縮と経費の削減です。従来の測量は人がポールを持って歩きまわって測っていく事に対して、UAV測量は空から一気に撮影してしまうので、3~4ヘクタールでも1時間程で測量が終わります。図面作成は地上での測量より時間がかかるとされていますが、現場が早いというのは絶対的な経費削減になります。

 デメリットは「写真」測量ですので

   ① 木や構造物など障害物があるところは地面の形までは分からない

   ② 測量誤差が±5cm程ある

 ➀に関しては木であればカメラではなくレーザースキャナーをドローンに搭載したものを使えば地表面を測量出来るので問題解決出来ますが、費用がかなりかかります。②に関しては農地や原っぱ(原野)では5cmの誤差はさほど重大ではありませんが、宅地では5cmも誤差があれば使用するべきではありません。結論から申し上げますと「市街地向けではない」という事です。

 境界線の確認には使用は難しいですが、地形から地図を作成したり、国交省が推奨するICTによる現場の施工管理ではドローンも組み込まれており、今後の測量関係には必須な機器となっております。

 

 また、ドローンを使用した業務としては、建物や構造物の調査というものがあります。これは、従来では足場を組んで人がそこを目視で確認している作業を、ドローンに装着されたカメラで調査を行うといったものです。こちらのメリットも経費削減です。足場設置は組んでから撤去するまでの日数と手間から数百万かかる事もありますが、ドローンを使用すると状況が良ければ2時間もあれば現地調査が終わる事になり、足場設置中の社屋の使用制限がありません。また、施主がモニターを介してリアルタイムで確認する事も出来ます。デメリットは商業地区等隣接した建物が密接している所では飛行出来ませんので、主として郊外の施設での使用になると思われます。

 

 今回はドローンについてほんの一部分の紹介となりましたが、国はもとより兵庫県と神戸市はドローン事業を推進していく事を宣言しており、今後は更に防災や運送、様々な調査でドローンが用いられる事となりますので、どうぞご注目下さい。


執筆者のご紹介

土地家屋調査士 梅田啓人(うめだ・ひろと)

 

大半の土地家屋調査士は、一筆地(一軒家)の境界確認や、建売住宅の登記を行っておりますが、私は修行先や父の事務所が特殊な案件(広大地の事業計画地や公図が混乱している地域)をよく行っていたせいか、他の同業者が扱いたがらない案件もこなします。一般な案件はもとより、特殊な案件のご相談もどうぞご利用下さい。

 

 1.土地境界確定

 2.地図訂正

 3.他の土地家屋調査士が嫌がる面倒な案件

 

土地家屋調査士法人ウメソック

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TEL 078-511-2451


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