土地家屋調査士という資格は、名前は知っているがどんな業務を行っているかよく分か
らないという方のほうが多いと思われます。土地家屋調査士は不動産登記の表題部の登記
と、それに伴う測量の専門家です。不動産登記の表題部とは、土地の地目・地積、建物の種
類・構造・床面積といった物理的状況の箇所を指し、変化があった場合は1ヶ月内に登記を
行うよう法律で定められております。また、土地建物を分割したり、ひとつに纏めたり
(土地は合筆、建物は合体・合併)する時の登記も土地家屋調査士が行います。登記は司法
書士と思われている方がよくおられますが、司法書士は権利の登記(所有権・抵当権など)
を行う資格で、実は住み分けがされています。
今回は土地家屋調査士が考える不動産の整理についてお話し致します。
【境界線について】
所有しておられる土地の境界線について質問してみますと、「ウチはブロック塀があるか
らハッキリしています」というような返事をしばしば頂きます。また「登記されていますか
ら」というようなお答えも。結果的にそれらで合っている事もありますが、土地の境界線と
は隣接する土地の所有者と確認して初めて決まったと言えるのです。
例外としてあるのは①区画整理が行われた ②法務局に地積測量図が備わっている、と
いったものがありますが、山林や農耕地区を除けても意外と少なかったりします。また、地
積測量図は古ければ使えない(合っていない)ものもあります。
私の資格である土地家屋調査士は土地の境界線の調査・測量・登記を専門に行う資格であ
り、こういった問題の解決を行っております。
冒頭にも書きましたが、土地の境界線というのは一方的に決められるものではなく、隣接
する土地所有者と確認・了承を得る必要があります。ブロック塀が自身の所有物だと思って
いたが、調べてみたら相手のものであった場合や、自身のものであっても相手の敷地に構築
していた場合もあります。
「登記されている」という言葉も間違っている訳ではありませんが、区画整理や、面積に
関する登記(地積測量図を備える登記)がされていなければ、登記と測量面積が合う事はほ
ぼありません。古い地積測量図の場合は誤差が大きくなる事もあります。
最近の分譲住宅でない土地を所有されているのは、年配であったり法人であったりする
事が多いと思われます。境界線の確認に伴う調査や測量は現金を使うという意味で相続対
策になりますし、法人におかれましては資産管理という事にもなるかと思います。
また、境界線の確認が済んでいれば、売却する際のスピードがかなり変わってきます。(一
軒家レベルで約3ヶ月、大規模な敷地だと1年かかる事もあります)いざ売却したい、と思
われても、確定された土地でなければ、そこから数か月を要す事もあるのです。
【登記について】
建物で多くみられるのですが、増改築の工事を行ったのに登記に反映していないケース
です。不動産登記法では登記簿の内容から変化が生じてから1ヶ月内に登記しないと10
万以下の過料に処すという規定があります。(処せられた実例は見たことも聞いたこともあ
りませんが)過料されないから置いておいて良いということではなく、登記に反映されてな
ければ困る場合があるのです。
それはズバリ融資の際です。
売買は基本的に登記簿ベースで行われます。買主が現金で買われるならまだしも、購入物
件を抵当に入れる場合、金融機関は登記簿と現地の建物の状況を合致することを望みます。
また、資金繰りの都合で所有物件を抵当に入れる場合も同様です。現在の所有者(代表者)
で増改築された場合はそれほど難しくありませんが、売主や先代など前所有者の時代に行
われたとなると、その個所が大きいものだと所有権移転もれということになる場合もあり
えます。所有権移転もれとなりますと、その箇所は増築を行った方の持ち物となり、当時の
所有者から承諾が必要になる場合もございます。
商工会に入られている方は整理されないまま先代から資産を受け継いだ方もおられると
思います。一度ご確認され、まだ確定されていない場合は今のうちにされる事をお勧め致し
ます。
土地家屋調査士 梅田啓人(うめだ・ひろと)
大半の土地家屋調査士は、一筆地(一軒家)の境界確認や、建売住宅の登記を行っておりますが、私は修行先や父の事務所が特殊な案件(広大地の事業計画地や公図が混乱している地域)をよく行っていたせいか、他の同業者が扱いたがらない案件もこなします。一般な案件はもとより、特殊な案件のご相談もどうぞご利用下さい。
1.土地境界確定
2.地図訂正
3.他の土地家屋調査士が嫌がる面倒な案件
土地家屋調査士法人ウメソック
〒652-0042 神戸市兵庫区東山町三丁目5番13号
TEL 078-511-2451
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