測量、してますか?

~登記しているからといって、安心してはいけません~


土地家屋調査士 梅田 啓人(土地家屋調査士法人ウメソック)

 

 会社を経営されておられましたら「登記」という言葉はご存じかと思います。登記は第三者に権利を公示するための行為であります。私の資格である土地家屋調査士は、その中 でも不動産登記の表題部と言われる箇所の登記の申請代理を行っております。 

 

 さて、不動産の登記簿謄本をご覧になった方もおられると思いますが、表題部にはその不動産の物理的な状況が記載されており、所在・地番・土地であれば地目・地積、建物であれば種類・構造・床面積が記載されています。その中でも今回は「土地の図面」について述べてみたいと思います。

 

 先ず「登記されている面積は、必ずしも実際の面積とは限らない」とご理解して頂きたいです。登記面積のベースは、明治時代の地租改正の際に調査された面積です。その後、宅地開発や区画整理事業などで改めて測量、登記された箇所は登記面積と現地の面積が合ってる場合があります。

 

 そこで確認して頂きたいのが、お持ちの不動産(土地)の「地積測量図」はありますか?ということです。地積測量図というのは、分筆登記など、測量を要した登記を行う際に提出する添付書類のひとつです。登記簿(登記事項証明書)の原因日付欄に「③錯誤」 や「分筆」といった語句がない土地には地積測量図はありません。平成 17 年以前は分筆で元地(ベースになる土地)は求積しなくても登記出来ましたし、昭和 54 年以前の分筆 登記は隣地との立会確認すらしなくても登記出来ていました。また、市街地の区画整理事業は、面積は正確であっても法務局に地積測量図は備え付けられておりませんし、郊外の国土調査や土地改良事業で、地租改正以降に境界確認されて面積を登記しなおした地区にも地積測量図は備え付けられません。

 

 また、売買や資産管理で測量し、隣地と境界確認を行った土地であっても、法務局に登記をしなおさないと、法務局に地積測量図が備え付けられる事はありません。(地積更正 登記と言います)例外として、国や役所の事業区域となれば、自ら登記申請しなくても備え付けられる場合があります。

 

 

 郊外など未整備な土地は、境界確認を伴う測量を行えば登記面積よりも大きくなる事も珍しくありません(増えたのではなく、もともとその大きさだった)。そういった場合は 固定資産税が増えるといったデメリットは生じますが、境界確認を行っても登記をしなお さなければその書類は私的な契約書と同じで、第三者に公示出来ないのです。法務局に地積測量図を備え付けるということは、法務局がその土地の境界確認(筆界確認)を行ったことを認めたことと言え、面積だけでなく土地の範囲も第三者に公示出来ます。また、その不動産を売却する際には事前にこの手続きを行っていれば、スピーディーに進めることが出来るので、会社としてもメリットは大きいのではないでしょうか?

 

 私が所属する士業グループ「こうべ企業の窓口」は弁護士・司法書士・税理士・不動産鑑定士など、不動産に関係する士業も多数在籍しております。様々な観点からご提案出来ますので、どうぞご相談下さいませ。

 


執筆者のご紹介

土地家屋調査士 梅田啓人(うめだ・ひろと)

 

大半の土地家屋調査士は、一筆地(一軒家)の境界確認や、建売住宅の登記を行っておりますが、私は修行先や父の事務所が特殊な案件(広大地の事業計画地や公図が混乱している地域)をよく行っていたせいか、他の同業者が扱いたがらない案件もこなします。一般な案件はもとより、特殊な案件のご相談もどうぞご利用下さい。

 

 1.土地境界確定

 2.地図訂正

 3.他の土地家屋調査士が嫌がる面倒な案件

 

土地家屋調査士法人ウメソック

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